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漁師見習い。

今日は釣り。
旅行3日目。19日、火曜日。

宮古島での二回目の朝を迎えました。
ペンションでは初めての朝。
静かで鳥のきれいな泣き声しか聞こえません。室内は杉の木と熱を含んだ和風畳の匂いがします。
昨晩は子供たちと雑魚寝のため足が飛んでくる、体がもたれてくる、おまけにクーラーの風が直接当たって寒さで目が覚める、という過酷な条件でした。しかしそこは普段から床寝で鍛えているせいか、ぴったり6時半に目が覚めました。しかも爽快に。

さて今日は息子と一緒に待望のパヤオ釣りであります。今回の宮古島旅行の目的を果たす時がとうとう来ました。前回の旅行で果たせなかったパヤオでのマグロ・カツオ釣り、そして港でさばいて船上で食す、という望みを達する日です。

釣り船の予約を取るのも難しいもので、台風あるいはその他天候の様子を見ないといけません。旅行の日程を精度の高い週間天気予報がカバーできる程度までに引き付けたのです。
それで出発直前になって、春の釣りで満足度の高かった前浜海洋レジャーの玉城さんに電話したのです。するとなんと、「お盆前にトラブルが発生して部品調達が遅れて船を出せません。」と出鼻をくじかれる回答。残念。
そこであわててネットで探索してヒットしたのは有漁丸の砂川さん。
電話をかけてみると予約オーケー。「何時からでも始められます。その日の朝に電話して。」と注文をつれられていました。レジャー・シーズンにともかく予約をとれたのが有難いことでした。

そして当日、と思った19日早朝に待合せ時刻の確認のために電話をすると、「あれ?20日じゃなかったっけ?」とのビックリ回答。こちらは「あれ19日のはずでは?」と思っていると、「明日にならないかなあ?」と船長さんに言われてしまう始末でした。すでに20日にシュノーケルの予定を入れてしまっていましたから、「なんとか今日お願いできませんか?」と頼んで19日に実施してもらうことができました。
20080819a待ち合わせ場所は「うえのドイツ文化村」近くの「博愛漁港」、時刻は午前9時。向かう途中の車中で予約時のことをよくよく思い出してみると、電話口で自分は「20日」と言ってしまったのではないか、という気がしてきました。出発前のドタバタした気分のときに方々に予約を入れたので、言い間違えか予約日の記憶間違いを犯したのかもしれない、という気に。
漁港にたどり着くと船長さんは「準備するのに時間がかかるからね。せめて前の日に電話くれないかな。」と注文。すいません、と平身低頭で息子とともに乗船させてもらいました。いやー、乗せてくれてよかった。

20080819bb20080819aa空は快晴、波は静か。
絶好の釣り日和。
ドイツ文化村のお城を眺めながら出港して宮古島がドンドン遠ざかっていきます。
20080819c走ること約50分。漁場のパヤオに着きました。すでに一艘の先客がいて船長さんは近くに寄せて情報交換。どうも先客は釣果が芳しくない様子。
投じること2、3回目で、当たりが来ました。船長さんは鈎針つきの棒を取り出したので、すわ大物か?と船上で色めき立ち、息子が釣り上げる一部始終をビデオに収めるべく回し続けて、さて船長さんが糸をたぐって、船の下にもぐりこんだかに見えた魚をめを凝らして見ようとしたら、
あれ、逃げられてしまいました。
どうもかかりが十分でなかったようです。
テレビ局の同様の企画みたいです。

20080819cc_3その後待つこと約2時間。パヤオの中で魚群を求めて移動しては糸をたらし、当たりが来ないとさらに移動し、という作業を繰り返していました。旅行の疲れも出てきて私は眠い。周りは水平線ばかりの世界。宮古島はどこだろうと見渡すと、標高がせいぜい100メートルの極めてフラットな島影を見つけてあちらが島の方、北だ、とやや無意味な位置確認をしつつ、作業を繰り返していました。
糸を下ろしてしばし待つ間、あるいは糸を上げて船を移動する間、疲れの出た私は、瞑想と睡眠の間のような状態、体は起きているのに頭は寝ている、という状態に。よくあれで船から振り落とされなかったものです。
「老人と海」ほどではありませんが、時間も空間も切れ目のなくなった延々とした世界で単純作業の繰り返しの半分瞑想状態の正午過ぎでしょうか。ついに当たりが来ました。
20080819d20080819dd息子がともかくも糸を巻き上げて船長さんが仕上げてくれたら、カツオの巨体が船上に上がりました。針を深く飲んでいたのを船長さん、まったくためらうことなく両手をカツオのエラに突っ込んでカツオの顔をこれでもかと言わんばかりに広げて針を引き出しました。カツオはピクリともしません。即死のようです。
1匹釣れたら気持ちに勢いがつきます。

20080819cccところで、船長さんの砂川さん、地元では「ゆうちゃん」の愛称で呼ばれているようで、しかし、(タクシーの運転手さん情報では)誰も本名を知らない、という一体どんな種類の有力者なのか顔役なのか、よくわからない人のようです。
その人と私たち親子の計3人の船上では雑談が、一切なし。
私たち親子に向かって、
「下ろして。」と糸を下げることを指示し、
「はい、上げて。」と糸を上げることを指示し、
「まだ足りない、もっと出して。」「そこでいい。」と糸の長さの注文をつけるだけです。
エサのつけ方などの指導もありません。こちらは見よう見まね。
私が、糸をからめて仕舞うことが2回。1回目は、私が必死で解きほぐそうとして悪戦していても数分間声掛けてくることも一切なし。見かねてか、ちょっと、とばかりに取り上げて黙々と解きほぐしてくれました。2回目は投げるときに急いで下ろしすぎて水中でからんだようですが、このときは、近づいてきて「急いで下ろしすぎたんじゃない?」と一言。
20080819e私は内心、「客なんだから親切に教えてくれてもいいんじゃないか。」と一瞬ムッとしました。
が、「いや、待て待て、船長さんはその道のプロなんだから考えがあってのことだろう。」と解釈してこちらも黙々と作業に従事。周囲を見渡せば、太陽は容赦なく照りつけてくる、水平線とわずかな陸地しか見えない太平洋上では立派な漁船も大波で木端微塵になるしかない、沈んでしまえば足の下は底知れない亜熱帯の海、透明度が何十メートルだろうと思わせる青の青という色をたたえて美しくもあり不気味でもあり。いわば死と隣り合わせにもなり得る大洋上の船上では船長の指示はさらに「絶対」です。従うしかありません。するなと言われたことはしないこと。
20080819iそれはさておいて、事前にも、昼食を準備しろ、とも、準備する、とも指示はなし。水分も用意しろ、とも、用意する、とも指示はなし。待ち合わせに急いで来た私たち親子はコンビニに寄ることも気づかず、文字通り手ぶらで乗船していました。船長さんに、「飲み物ありませんか?」と恐る恐る尋ねると、「それ飲んで。」とクーラーボックスで氷漬けのペットボトル入りサイダーとミルクティーを指示されて、息子と飲んだサイダーのうまかったこと。それも切らすと船長さん用のペットボトル入り水を3人で分けて飲むことに。
昼食は取らずに作業を続けて、修行のような様相さえも。
20080819gその点、小学生の息子のほうこそ、文句も言わず、喉が渇いたとも言わず、腹がへったとも言わず、一切の文句も出さずに、黙々と作業に従事しています。子供のほうが、なまじ変に知恵のついた大人より、受けの心、が整っているのでしょうか。
傍から見たら、船長さんが、私たち親子に指示をして作業をさせていましたから、さしずめ親子そろっての漁師見習の様相でした。

20080819f_220080819hそんな状態で、一投一投を繰り返していると、糸の下ろすペースをつかみ、下ろす糸の長さも徐々につかんで、当たりが出やすくなってきたのでした。

気がつけば、午前10時前ころから釣りを開始して、もう午後3時ころ。
船長の「よし、帰ろう。」の一言で島の港へと戻る航跡を造りました。必要な言葉以外は一切発しなかった船長と、ひたすらその指示に従った私たち親子との3人の男が太平洋上の一艘の小船の上で男の色気を感じ合った瞬間でした。

誠に言葉少なくあっても短く明確な指示と注意だけの航海。
糸の長さと下ろす速さを加減し、船長さんの指示と注意に合っているかどうか図りつつ、素人ながらの試行錯誤を重ねて、周囲360度ほとんど水平線の空と海の青の世界で無の境地に浸りました。

20080819j帰港して接岸すると家族が迎えに来てくれていました。
釣果はマグロとカツオ、合わせて6尾。
ペンションへの手土産に小ぶりなマグロ1尾。今夜の居酒屋での晩御飯用に中くらいのマグロとカツオを各1尾、選別し、最後に自宅に送るマグロを大きいほうから3尾決定。
20080819kふと気がつくとどこから現れたのか冷蔵トラックが岸壁に横付けしてきました。あれよあれよという間に、自宅に宅配する魚を岸壁上で発泡スチロールの箱に梱包して送り先の紙まで書かされて「送料は5000円です。」と言われるままに支払い、あっという間に、冷蔵車の荷物と化してしまいました。
あまりの手際の良さに感心。

20080819w20080819x20080819y20080819z同夜は、港に近いキッチンこと居酒屋「みほりん」。
ペンションでシャワーを浴びて汗と塩を流してサッパリした体でマグロとカツオの釣りたてさばきたての刺身を堪能しました。
新鮮すぎます。うますぎでした。
あっ、という間に子供たちの胃袋に消えました。

私と息子の男性陣が釣りに出かけている間に、娘たちは同じ博愛漁港から出港するグラスボートで魚とウミガメを見て、ドイツ文化村の屋内プールでこれまた亜熱帯の夏を満喫して楽しかったとのこと。
みんなが満足できた旅行3日目でした。

キッチンこと居酒屋「みほりん」のあとはタクシーで宮古島随一の繁華街西里大通りへ。春と同様ブラブラしました。三女は疲れて私の腕の中で眠りこけてしまい19日は終了。

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